原くんの手に体重を預けて、ぐっと立ち上がる。 まだ帰りたくないけど、帰らきゃいけない。 立ち上がるとき、橋の向こうに見えた空は夏の色をしていた。 夏が来る。 ひとりっきりじゃない、ふたりっきりの夏が来る。 そう思うと、どんなつらいことだって耐えられる気がした。 どうか、私のこの小さな恋が続きますように。 小さな小さな恋が、守られますように。 ただそう願いながら、手を繋いで帰った。