すると、翌朝すぐに彼女からの交換日記が届いた。僕は浮かれる気持ちを抑え内容を読むことにした。


『おはよう〜、交換日記……してくれてありがとうねっ! 本当に嬉しかったんだよ。えーくんとこうして話せるのが楽しみなの。それでね、あの、昨日の夜にね、凄く悩んでたんだけど、通話アプリの交換とか……してくれないかな? もちろん、えーくん次第なんだけどね。それじゃ、今日も一日頑張ろうねっ!』


 文面から彼女の本音が伝わってくる。それが嬉しく感じ、僕は出勤前に日記を書くことにした。通話アプリの交換だなんて……内気な僕からは絶対に言えない。逸る気持を抑え返事を書いたのだ。


『おっはよ〜。僕の方こそ、まーちゃんと交換日記できるのが嬉しいよ。通話アプリなんだけど、ボクは全然構わないよ! これからもよろしくねっ。それじゃ、今日も一日頑張ろう〜』


 送信ボタンを押すと出勤準備をする。外は曇り空だけど、僕の心は快晴のように晴れ渡っていた。朝からの嬉しいサプライズで、僕は仕事への足取りが軽くなったのだ。



 ──その日の夜。
 家に帰った僕は、交換日記からの通知が来ていることに気がついた。その通知に僕は胸の高鳴りが止まらなくなる。震える手を抑えながら交換日記の中身を確認する。


『仕事お疲れ様。ありがとう〜! 嬉しくて涙がでちゃうよ。あっ、私の番号教えておくね? 登録したら連絡がほしいかなっ。楽しみに待ってま〜す』


 僕は彼女の番号を通話アプリに登録した。このアプリはメッセージも送れる。緊張しながらも、彼女へのメッセージを打ち込んでいく。その文面を何度も見直し、大きく深呼吸をして送信ボタンを押したのだ。


 どれくらい経ったであろう。彼女からの返信メッセージが届き、僕は通話アプリの画面を開いた。そこに表示されていたのは……お風呂上がりとも思える写真。わずかに髪が湿っているのが分かった。広告か何かと思った僕は、彼女になんの写真なのか返信をする。すると、彼女自身だとすぐに返事がきた。鼻パック写真のオマケ付きで……。


「ビックリしたよ。自撮りを送ってくるとは、思ってなかったからさ。でも、僕なんかに送って平気だったの?」
「えへへ。えーくんだから、送ったんだよっ。どう……かな?」
「凄く……可愛いよ」
「もぅ、そんなこと言われると……恥ずかしいじゃないのっ」
「まーちゃん、僕ね、まーちゃんが女神だも思ってるんだよ。だって……僕はまーちゃんのことが好き……だから」
「えーくん……嬉しい。ありがとう、私もえーくんのことが……好きだからね?」