「本当に〜? 仕方ないなぁ、信じてあげよう。瑛二君は嘘なんてつかないからねっ」


 一応は信じてくれたのか。僕は写真をグループにあげ、彼女はそれを見て喜んでいた。こよ何気ない日常こそが幸せだと、僕は改めて思ったのだ。




 SNSとは不思議な世界。顔や性別も分からなくても、仲良くなれるそんな世界だ。いつものようにネッ友と話していると、交換日記の話題となった。そこで、自分を含めた数人で交換日記をすることが決まってしまう。


 しかし、それを面白くないと思ったのか、突然彼女が不機嫌そうに話しかけてきたのだ。


「ねぇ、交換日記なんて……やるんだ。ふぅ〜ん、そっか、別にいいんだけどね。気にしてないし」
「なんか半強制で断るに断れなくて……。ごめん」
「べっつに〜、怒ってないしっ。瑛二君が何しようと、私は平気だも〜ん」


 絶対に怒ってる……なんで怒ってるのか想像は容易についた。だが、ひょっとしたら自意識過剰なのかもしれない。そんなことが僕の頭をよぎっていった。


「え、えっと、麻里奈さん。僕と交換日記でも……してみる? いやなら、断ってくれても……」
「する〜! えへへ。それと、私のことは『まーちゃん』って呼んでね? 私も瑛二君を『えーくん』って呼ぶからっ」
「う、うん。分かったよ、まーちゃん。それじゃ、二人だけにしか見えない、このアプリで交換日記をしよう」
「はい。あーくんに任せるわ。それと、パスワードとか……どうしようか」
「『まーちゃんとあーくん』でいいかな? 覚えやすくて二人だけの秘密みたいだし、いいと思うんだけど……」
「ふふふ、いいわよっ。そのパスワードにしましょ! あーくんと交換日記、嬉しいなぁ」


 こうして、僕たちは二人だけの交換日記を始めた。内容はその日の出来事や、直接言えない想いなど様々である。最初は僕から日記を書いた。初めてで何を書こうか悩んだが、素直に今の気持ちを日記に込めたのだ。


『交換日記、喜んでくれてよかった! なんだか、二人だけの秘密って照れくさいよね。今日は夜も遅いから寝るね。おやすみなさい、まーちゃん』


 たった数行の日記だが、文字を絞り出すのに数十分かかってしまった。この人には嫌われたくない、傷つけたくもない。だからこそ、慎重に言葉を選んだのだ。