あれから4年、今でも隣にアイツは住んでいる。




「怜!今からバイト?」

「おー、バイト」

偶然駅で会った。
その後ろには派手な仲間たちもいた。まだつるんでんのか。

「今居酒屋でバイトしてるんでしょ?安くしてよ」

「単なるバイトにそんな権利あるかっ」

「今度行くか…あ、ごめん!電話!」

嬉しそうに電話を取った。

普段聞き慣れない声色で話し出した。
あれはきっとー…

「ねぇひゅーがの!」

「え?」

「ひゅーがの、全然変わらないよね~!ずっとひょろメガネじゃん!」

派手な仲間たちも変わってなかった。

「変わらず結華と仲良いんでしょ?やっぱあんたいい奴だね!」

「ほんと~、うちらも居酒屋行くよ!売り上げ貢献するし!」

「まぁ、いい加減うちらの名前も覚えてほしいけどね!ひゅーがの興味ない人、絶対知らないでしょ?」

まぁ興味ない人の名前は覚えないけど。
でも…

「倉木さん、玉山さん、戸田さんでしょ。知ってるよ、昔から」

「「「!!!」」」

結華の友達ぐらい覚えてるわ。

「ひゅーがのやっぱいい奴!今度一緒にカラオケ行かない?」

「いや、お気持ちだけで大丈夫」

さて、そろそろバイトの時間だ。

ちょうど電話を切った結華に手を振った。



あれだけ幸せそうに笑ってたら俺の出る幕なんかないしな。