カフェを後にし、先輩は『時間があるから』と私の家のすぐ近くまで送ってくれた。


「じゃあここで」

「はい。こんなところまでありがとうございました。花火大会、楽しみにしてますね」

「うん、俺も」

夢心地な気分のまま、先輩の姿が見えなくなるまで手を振って見送った。


自分の部屋のクローゼットを開けてみる。浴衣、家にあったかな?せっかくだから新しいの買いなおそうかなぁ。

あっでも浴衣なんて着て行ったら、気合入りすぎてると思われちゃうかな……

その日は一日中、そんなことばかりを考えていた。幸せな悩みだ。