「いい加減気づけよな」

「気づくってなにに?」


「あーもうだから…」

柳瀬の匂い。あのときの感触と同じ。

ゆっくり離される唇。


キス……された。


「何年片思いしたと思ってんだよ」


……片想い、柳瀬が?


照れてるのかわからないけれど、柳瀬は目を合わせてくれない。



「あ、あの。……そ、それって、もしかして、私に対しての片想いで、合ってる?」


そう言った瞬間ぎゅっと強く抱きしめられた。

「そうに決まってんだろ。お前どこまでバカで鈍感なんだよ」



「……柳瀬」

私もそっと柳瀬の背中に手を回す。