次の日。私は放課後、部活が終わる時間帯を見計らって学校近くの公園に先輩を呼び出した。



「麦ちゃん、待たせてごめんね」

待ち合わせ時間を少し過ぎた頃、先輩が現れた。


「麦ちゃんから会ってほしいなんて珍しいね。どうかした?」

……言わなきゃ。気持ちが重いけれど、ちゃんと言わなきゃいけない。



「……久野先輩、ごめんなさい」

そう言って勢いよく頭を下げた私を、先輩はどんな顔で見ていただろう。


「私もう、久野先輩とは付き合えなくて……」

こんな気持ちでこんな素敵な人と付き合うなんてできない。


下げた頭を静かに上げた。

先輩は静かに私を見て黙って話を聞いている。