『当時世界に4本しかなくて、買うと国の予算が吹っ飛ぶくらいのやつ』
は?
『僕はドラゴン倒してドロップして手に入れたんだけど、あー、もしかしたら飲むんじゃなくて、なめるだけにして取っておいた方がいいかも。君、見たところ元気そうだし』
お前の目は節穴か!
いや、幽霊は目が節穴になってるパターンも多くて、もしかして顔見たらそれ系かもしれないから突っ込まないけど。
■
どこが元気そうだ!いや、死んだ人間よりは元気か……って、そんな漫才みたいな話はいらないんだよっ!
「元気の基準が分からない……」
と、ついつぶやいてしまった。
『あー、手もちぎれてないし、内臓も出てないし、会話できるし』
待て、待て、元気の基準がおかしい!
いや、その基準なら確かに私は元気ですが、ですが、このままだと助けもないし、死にそうなんですけどね?
……うん?そうだ。どうせ死ぬか。この怪しい墨汁みたいな液体。三百年の間に腐って腐敗してカビてやばいの増殖して猛毒になってそうな感じですが……。いや、逆に即死できる猛毒ならば、この痛みから解放されるかも。
痛みと戦いながら、なんとか小瓶のキャップを開ける。栄養ドリンクのような小さな瓶。ごくごくと飲む勇気もないけど、そもそもごくごく飲める体勢になれないので、指にちょいとつけて舐めてみた。
うっわぁー、これ、味まで墨汁だ。いや、墨汁は飲んだことないけど、あの習字の匂いが口から鼻に抜けた。絶対、舌が真っ黒になってるよね。そういえば、おはぐろとか言って墨汁で歯を真っ黒にして遊んでたなぁ、隆。……幼馴染の隆。半年後に結婚する隆。
人の気も知らないで、結婚式の招待状を手渡してきた隆。
ああ、こんなところで死ぬわけにはいかない。日本に戻って結婚式に出席しないと!結婚式でおめでとうって言ってやるんだからっ!
奥さんになる人……隆はお調子者で、クラスの人気者。目を離すと墨汁どころか泥水も飲んじゃうようなヤツだけど……。霊感少女と噂が広がって皆が私を気味悪がっても、隆だけはずっと変わらず接してくれた。底抜けにいいやつだから。だから、幸せにしてあげてくださいって。
隆の奥さんになる人の守護霊にお願いしないといけないんだからっ!
絶対に死ねないっ!
と、体を起こす。いや、起こせた。
「あれ?痛く、ない……?」
は?
『僕はドラゴン倒してドロップして手に入れたんだけど、あー、もしかしたら飲むんじゃなくて、なめるだけにして取っておいた方がいいかも。君、見たところ元気そうだし』
お前の目は節穴か!
いや、幽霊は目が節穴になってるパターンも多くて、もしかして顔見たらそれ系かもしれないから突っ込まないけど。
■
どこが元気そうだ!いや、死んだ人間よりは元気か……って、そんな漫才みたいな話はいらないんだよっ!
「元気の基準が分からない……」
と、ついつぶやいてしまった。
『あー、手もちぎれてないし、内臓も出てないし、会話できるし』
待て、待て、元気の基準がおかしい!
いや、その基準なら確かに私は元気ですが、ですが、このままだと助けもないし、死にそうなんですけどね?
……うん?そうだ。どうせ死ぬか。この怪しい墨汁みたいな液体。三百年の間に腐って腐敗してカビてやばいの増殖して猛毒になってそうな感じですが……。いや、逆に即死できる猛毒ならば、この痛みから解放されるかも。
痛みと戦いながら、なんとか小瓶のキャップを開ける。栄養ドリンクのような小さな瓶。ごくごくと飲む勇気もないけど、そもそもごくごく飲める体勢になれないので、指にちょいとつけて舐めてみた。
うっわぁー、これ、味まで墨汁だ。いや、墨汁は飲んだことないけど、あの習字の匂いが口から鼻に抜けた。絶対、舌が真っ黒になってるよね。そういえば、おはぐろとか言って墨汁で歯を真っ黒にして遊んでたなぁ、隆。……幼馴染の隆。半年後に結婚する隆。
人の気も知らないで、結婚式の招待状を手渡してきた隆。
ああ、こんなところで死ぬわけにはいかない。日本に戻って結婚式に出席しないと!結婚式でおめでとうって言ってやるんだからっ!
奥さんになる人……隆はお調子者で、クラスの人気者。目を離すと墨汁どころか泥水も飲んじゃうようなヤツだけど……。霊感少女と噂が広がって皆が私を気味悪がっても、隆だけはずっと変わらず接してくれた。底抜けにいいやつだから。だから、幸せにしてあげてくださいって。
隆の奥さんになる人の守護霊にお願いしないといけないんだからっ!
絶対に死ねないっ!
と、体を起こす。いや、起こせた。
「あれ?痛く、ない……?」


