冷めない熱で溶かして、それから。



「つけてたのか?」

 松野くんはすぐに私を隠すようにしてふたりの前に立ってくれる。


「だって気になるじゃん、凪の彼女!」

「その人、ひとつ上の先輩だよね!文化祭で凪が行きたいって言ってた男女逆転喫茶にいた子!」


 ば、バレてる……!
 どうやらしっかり顔を見られていたようだ。

 どうしよう……どうするべき?
 それよりも女の人たちの声だけじゃ反応がわからない。


 逃げたい……けれど、松野くんの前でそんな恥ずかしいことはしたくない。

 意を決して松野くんの背中から顔を覗かせる。
 そこには綺麗で到底年下には思えない女の人たちがいた──