なんだ……昨日は寝起きで不機嫌だっただけで、反省して謝るくらい真面目な人なんだ。


 本当に、人って見た目で判断してはいけない。

 優しくて真面目そうな人が実は最低な人だったり、彼みたいに怖そうな人が律儀な人だったり。


 怖がってしまった自分が恥ずかしくなる。


「では、私はこれで……!」


 私は頭を下げ、その場を立ち去ることにした。

 言葉遣いは全然優しくないし、どちらかと言えばぶっきらぼうで少し怖いと思ってしまうけれど、不思議と恐怖心は消えていた。


 璃花子ちゃんの言った通り、男の人だからといって悪い人ばかりではない。

 今日がはじめの一歩として、前に進めたらいいなと思いながら私は学校へと向かった。