「なぁ、ちょっと時間あるか?そこの土手で話したいことがある」


「土手?いいけど………」



私はちらっと腕時計を盗み見る。あ、まだ時間は大丈夫そうだ。あの図書館からここまでどのくらい離れているか分からないけど夕方までには帰れるだろう。



「お母さんにメールだけしてもいい?」


「いいぞ」


「ありがとう」



時間にうるさいお母さんには何時頃帰るか言っとかないと後で長々と説教されるからメール入れとかないと。


スマホを取り出し、お母さんに短いメールを打つ。



「OK。ごめんね、お待たせ」


「ん。じゃあ、行くか」



倉庫を出て、すぐ近くの河原を歩く。ここら辺には長い川が流れていて心地よい川の音が聞こえてくる。


あれから結構歩いたけど………秋葉くんは歩くのをやめない。


私も話すことはないから口は閉じたまま。


微妙な空気が私たちの間に流れる。