二人の幼なじみに愛されてます

「残念。俺の気持ちは伝わらなかったか」



一人で考え込んでいたから、律くんがそう言ったことに気づかなかった。



「律くん、何か言った? 」



「なんでもないよ。そろそろ昼休み終わるし、教室戻ろうか」



もうそんな時間なんだ。

慌てて立ち上がる。

お弁当箱を忘れるところだったと、置いた場所に目を向けるもその姿はなくて。



「愛乃」



律くんが先に持っていてくれたようで、お弁当箱を渡された。



「ありがとう」



さすが、律くん。考え事をしていると何か忘れてしまうんだよ。そんな私のことよくわかってくれている。

廊下で律くんと別れる。



「バイバイ」



「また、放課後に」



律くんの背中を見送る。



「あ」



廊下のロッカーに教科書を取りに来た理央と目があってしまった。

思わず声を出してしまう。

自分の気持ちに気づいてほしいときにキスしたくなる。さっきの律くんとの会話を思い出して、とっさに目をそらしてしまう。