二人の幼なじみに愛されてます

「えっと、頑張るね」



穂香ちゃんはぎゅっと手を握って、首を傾げた。

ほら、穂香ちゃんが戸惑っているから、変なこと言わない。



「俺が何」

「あ、松吉くん」



理央の登場に穂香ちゃんはあわあわして、私の袖を引っ張った。

いつも理央のこと見ているけど、面と向かうと恥ずかしいみたい。そんなところも可愛い。



「なんでもないよ」



これ以上話をややこしくたくないとごまかした。



「律、数学の教科書持ってる? 」



何かと思ったら、忘れものか。理央にしては珍しい。



「あるよ」

「貸して」

「机に入ってるから勝手に借りていいよ」

「いや、律の席知らないし」

「愛乃といる時間が減る」

「知るか」



理央の一撃でしぶしぶと律くんは教室を出ていった。



「今日、部活休みだから放課後、千原くんと一緒にいられるね」



さっきまで黙っていた穂香ちゃんが思いついたように言った。