二人の幼なじみに愛されてます

 再び顔を上げると律くんは「冗談」と笑った。

 律くんに促されて、先を歩く穂香ちゃんと理央を追いかけた。



「愛乃」



 いつの間にか隣を理央が歩いていた。



「どうしたの」

「さっきの、フリだからな」

「さっきって? 」

「佐伯さんの彼氏のフリってこと」

「わかってるよ」



 もしかして、理央は穂香ちゃんの彼氏だと本気で私が勘違いしたと思っていたのかな。



「愛乃のことだから、勘違いしてそうだなって」



 当たりだった。



「私、そんなにバカじゃないよ」

「愛乃は変なこと勘違いするから」



 理央のなかで私はどんなあほの子なんだろう。



「そのぐらいわかるよー。穂香ちゃんを助けてあげたんでしょ。好感度アップだね」

「なんだよ、それ」

「私にも優しくしてくれたら、私への好感度もアップだよ」

「俺はいつも優しい」

「理央は意地悪、だよ」

「愛乃にだけだよ」



 私にだけ、意地悪ってどういうことなの。