二人の幼なじみに愛されてます

 穂香ちゃんはコートでラリーの応酬を続ける二人を見て言った。私もつられてコートに目を向けた。



「そうかなあ。律くんは優しいけど、理央は意地悪だよ」

「意地悪なのは愛乃ちゃんにだけじゃないかな。好きな子には意地悪したくなっちゃう、みたいな」

「好きな子って、私? それはないよー」



 理央が私を好きなんて。それに好きな人には優しくするものじゃないのかな。



「愛乃ちゃんは」

「なあに」

「愛乃ちゃんは、どっちか好きとかないの? 」

「二人とも好きだよ。あっ、でも、律くんは優しいから律くんのほうが好き! 」



二人とも大切な幼なじみだし。

元気よく言うと、穂香ちゃんはなぜか少し困った顔をしていた。

なんだろう。おかしなこと言ったかな。

「どうかしたの」と尋ねると、穂香ちゃんは恐る恐る言った。



「えっと、恋愛的な感じの好きとか」



 恋愛かあ。考えたことないかも。