二人の幼なじみに愛されてます

「ふーん」



唇にはされてない。ほかはされたけど。私の答えに理央は疑いの目で私を見つめる。



「律にキスさせないで」



その言い方だと私が律くんに頼んで、キスしてもらってるみたいだよ。そんなことないのに。



「どこにも」



私が律くんにキスされた場所を知っているかのようにそう付け加えた。いつもの理央とは違う切なそうなその声に私は頷いてしまった。



なんで、あのとき泣いちゃったんだろう。

その答えはでないまま。

結局、家に帰っても勉強に集中することはできなかった。

一応、提出物は一通り終わらすことができたからよかったけど。



「はぁー」

「愛乃ちゃんが溜息なんて珍しいね」



あ、今溜息ついたの私か。



「高校初めてのテストだし、怖いよね」



穂香ちゃんに昨日泣いちゃったこととか話すことはできないし。

テスト勉強に行き詰っていることは本当だし、ここはテストへの溜息にしておこう。