義弟が『俺、異世界賢者の転生者だ』と言い出した【中編】

「お願いします!私を弟子に!なんでもしますから!」
 ……。
「あー、とりあえず、金返して」
 和樹が手を出すと、ささっと、11万帰ってきた。
 私が渡した1万と、和樹が渡した10万だね。
 いや、ちょっと待って!
「和樹、あんた、弟子にするつもり?どうすんの!この家、そんなに広くないし、大体大学に行かなくちゃいけないんだし、そもそも」
 と、驚いて和樹に話かけると、白髪と禿頭の足元に魔法陣が浮かんだ。
「さっき送った手紙に、二人を元の世界に召喚するための魔法陣を書いて送った。さっさと二人を引き取らないと国がどうなってもしらないよーって書いたけれど、ずいぶん早かったね。それとも半信半疑で試しに魔法陣起動したら発動しちゃったってことかな?」
 和樹の言葉に、またしても二人の目がきらきらになった。
「あの短時間の間に、我ら二人を召喚するための魔法陣を構築したというのですか!」
「お願いです、また我らをこちらに呼んでください!弟子に、弟子にしてください!お願いいたします!お金が必要であれば、いくらでもご用意させていただきますから」
 和樹がひらひらと光に包まれて次第に姿が見えなくなっていく二人に手を振った。
「通信教育ならいいよ。代金は魔石ね。手紙送るわ」
 へ?
 通信教育?
 その手があったか。
 いや、世界をまたいでの通信教育って!
 和樹、あんたの発想力って、本当すごい!
 中二病健在だね!って、違う、違う!
「和樹、あんた……本当に、異世界の賢者の記憶があるのね?」
 両肩をつかんでがくがくとゆする。
「結梨さ、もしかして、今まで信じてなかったの?じゃぁ、俺の話どう思って聞いてたわけ?」
 うっ。
 完全に中二病だと思っておりました。
 ご、ごめんなさい。


 その日を境に、和樹は私のことを「結梨」と呼ぶようになった。
「何で呼び捨て!」
「結梨だって、俺のこと和樹って呼び捨てだろ?」
 うぐぐっ。確かにそうだけど。
「大学で姉ちゃんなんて読んだらみっともないだろう!」
 うーん。
 確かに、大学で会った時に二十歳近くの男が姉ちゃんと言うのは恥ずかしいものなのだろうか。
 ああだから「姉貴」とかそういう呼び方もあるんじゃない?

 というのを、ゆきちゃんにラインだ。
『姉ちゃんって恥ずかしいから結梨って呼ぶって言うんだけど、姉貴とかでよくない?』