隆の声が改まっている。
「その話も含めて、ゆっくり会いたいんだ。明日からの週末、夏美ちゃんに予定がなければ、遠出しない?一緒に旅行しよう」
「え、旅行?」
唐突な申し出に夏美はびっくりした。どうしたんだろう、と思いながらもスケジュールを確認する。急ぎの仕事はない。この週末ゆっくりしても大丈夫そうだ。二日間休んだので、もう体調も元に戻っている。
「いいけど…どこに行くの?」
「沖縄。暖かいとこなら、風邪もひかないでしょ。太陽にさらされて、ビールを飲もうよ」
驚いた。隆がサプライズで色んなところに連れて行ってくれるのは今に始まったことではない。でも、こんなに急なのは初めてだ。訝しがる一方で、夏美はわくわくもしてきた。ずっと休日返上で働いてきたのだ。沖縄を楽しむくらい、あってもいいんじゃないだろうか。夏美は言った。
「うん。行きたい。楽しそう!」
「じゃ、身一つでおいで。何でも買ってあげる。…って言っても女性はいろいろ準備がいるんだよね。お泊りの準備を今日中にしとくこと。いいね?」
「はーい」
夏美はスマホを切りながら、うきうきしてきた。隆と二人っきりで遠出するのは初めてだ。絵本製作で疲れた夏美をゴージャスな温泉旅館に連れて行ってくれたこともあった。それもとても楽しかったのだけど、今回は飛行機にも乗る分、本格的な旅行だ。夏美は、思い切って羽根を伸ばしちゃおう、と頬を緩めた。
それでも、「ICHIGO」のことは気になる。だが、もう完成して夏美の手から離れてしまったのだ、あれこれ考えても仕方ない、そう割り切ることにした。
翌日。空は晴天で、那覇空港に降り立った夏美は、大きく伸びをした。5月の沖縄は雨が多いけれど、この週末は天気だと予報で言っていた。肌に照りつける陽ざしがとても、気持がいい。
「ふふ。名前どおり、夏らしいところにくると、水を得た魚だね」
隆が浮かれた顔をしている夏美を見て言う。
「うん。こういうジリジリ熱いの大好き。なんか、生きてるって気がしてくるの」
隆は夏美の手を取って、タクシーに乗せてくれる。行く場所はブセナテラス。高級リゾートホテルだ。
「その話も含めて、ゆっくり会いたいんだ。明日からの週末、夏美ちゃんに予定がなければ、遠出しない?一緒に旅行しよう」
「え、旅行?」
唐突な申し出に夏美はびっくりした。どうしたんだろう、と思いながらもスケジュールを確認する。急ぎの仕事はない。この週末ゆっくりしても大丈夫そうだ。二日間休んだので、もう体調も元に戻っている。
「いいけど…どこに行くの?」
「沖縄。暖かいとこなら、風邪もひかないでしょ。太陽にさらされて、ビールを飲もうよ」
驚いた。隆がサプライズで色んなところに連れて行ってくれるのは今に始まったことではない。でも、こんなに急なのは初めてだ。訝しがる一方で、夏美はわくわくもしてきた。ずっと休日返上で働いてきたのだ。沖縄を楽しむくらい、あってもいいんじゃないだろうか。夏美は言った。
「うん。行きたい。楽しそう!」
「じゃ、身一つでおいで。何でも買ってあげる。…って言っても女性はいろいろ準備がいるんだよね。お泊りの準備を今日中にしとくこと。いいね?」
「はーい」
夏美はスマホを切りながら、うきうきしてきた。隆と二人っきりで遠出するのは初めてだ。絵本製作で疲れた夏美をゴージャスな温泉旅館に連れて行ってくれたこともあった。それもとても楽しかったのだけど、今回は飛行機にも乗る分、本格的な旅行だ。夏美は、思い切って羽根を伸ばしちゃおう、と頬を緩めた。
それでも、「ICHIGO」のことは気になる。だが、もう完成して夏美の手から離れてしまったのだ、あれこれ考えても仕方ない、そう割り切ることにした。
翌日。空は晴天で、那覇空港に降り立った夏美は、大きく伸びをした。5月の沖縄は雨が多いけれど、この週末は天気だと予報で言っていた。肌に照りつける陽ざしがとても、気持がいい。
「ふふ。名前どおり、夏らしいところにくると、水を得た魚だね」
隆が浮かれた顔をしている夏美を見て言う。
「うん。こういうジリジリ熱いの大好き。なんか、生きてるって気がしてくるの」
隆は夏美の手を取って、タクシーに乗せてくれる。行く場所はブセナテラス。高級リゾートホテルだ。



