再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません

屋台を一通り見て回った後、私と悠くんは境内に繋がる石段の前に立っていた。

石段の数は多く、登るのが大変だけど、境内からよく花火が見えるらしい。

誰も進んで登りたがらないのか、人がごった返しする参詣道とは違い、周辺に人はいなかった。


「石段かなりあるけど大丈夫?」

「が、頑張るよ」


体力に自信はないけど、思い出が欲しいから登りきってみせます!

長い石段に怖気つきそうになるところを両手で拳を作って気合を入れていく。


「始まるまで時間はあるからゆっくり行こう」

「うん……っ」


手を繋いでゆっくりと登り始めた。

悠くんは私のペースに合わせてくれた。

時折、私の様子を見て休憩を入れてくれたり、私が転ばないように腰に手を添えて支えてくれる悠くんは優しい……。



悠くんへの思いは上限がないほど、募っていく。

好き、大好き……。

だから、解放してあげる。悠くんには幸せになって欲しいの。

しばらくめそめそして泣いてしまうかもしれないけど。

必ず悠くんの幸せを心の底から祈れるような、ひとりぼっちでも強くなれるような人になるから。



時間はかかってしまったけど、無事に石段を登りきることが出来た。


「響、大丈夫?」


悠くんが膝に手を置いて肩で息をする私を心配そうに見ている。


「大丈夫だよ……始まる前に間に合ってよかったね」


私は安心させるように満面の笑みを浮かべた。



「ここに花火がよく見える場所かあってね、従姉妹に教えてもらったんだ」


私の呼吸が落ち着いてから、悠くんは従姉妹さんに教えてもらったという境内の中でよく花火が見える場所まで連れて行ってくれた。