参詣道は様々な屋台が並んでいた。
ふふ、眺めているだけでも楽しい……っ。
「何か食べたいものはある?」
辺りを見渡している私に、悠くんが尋ねてきた。
「かき氷が食べたいかなぁ」
素直に答えると、悠くんはかき氷の屋台へ連れていってくれた。
前も食べたけどね。でも、屋台のかき氷はこういう時しか食べられないから別なの。
「悠くんも買う?」
「俺は大丈夫だよ」
悠くんは、アイスクリーム頭痛になりやすい体質らしく、全部は食べられないと教えてくれた。
順番が来て、私はいちごのかき氷を買った。
邪魔にならないように隅に場所を移すと、私は一口を口の中に入れた。
「美味しい」
宇治抹茶が一番だけどいちごも美味しいな。
甘いものを食べている時と、ついつい頬が緩んでしまう。
「お店のかき氷もとても美味しいけど、縁日のかき氷は特別な感じがするの」
そう言ってまた一口を口に含むと、ぎゅっと瞼を閉じて堪能した。
「響が美味しそうにしているから食べたくなっちゃった」
「食べる……?」
私は無意識に一口をプラスチックのスプーンですくい、悠くんの口元へ運んだ。
「久しぶりに食べたけど、美味しいね」
よかった……頭痛そうにしてない。
「そうでしょう?……あっ……」
私はようやく間接キスしていたことに気付いた。
無意識だった……ついやっちゃったよ……っ。
まだかき氷は残っているから、悠くんが口付けたスプーンで食べ……。
私の脳内はキャパオーバーになってしまい、うろたえずにはいられなかった。
湯気が出てもおかしくないほど顔全体が熱くなっていた。


