再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません

「──悠くん」


私が呼びかけると、車窓の景色を眺めていた悠くんが私の方へ顔を向けた。

「花火楽しみだね」

ふにゃりと微笑みかけると、悠くんは目を大きく瞬きをした。

「そうだね」

瞬きをした後は、細めて優美に笑いかけた。


最寄り駅に降りると、ホームには浴衣姿の人が男女問わず大勢いた。

友達同士で来ている人や家族連れ、カップルで来ている人など様々だ。


「ねえ、あの人格好いいね!」
「本当……! 一緒にいる女の子は……だね」
「身長高くて……みたいっ」
「すっごく……」


通りすがりの浴衣を着た女の子二人の会話が少し耳に入ってしまった。

悠くんは相変わらずだけど、私は……釣り合ってないとか言われているかもしれない。

悠くんの好きな子なら、手放して絶賛していたんだろうな……。

すごい美少女らしいから。

それに比べて私は……ってだめ、つい卑屈になっちゃうよ。

孤立する前はもう少し性格は明るかったのに……。

せめて、いつも笑顔でいなきゃ……っ。



神社に到着すると、すでに縁日で楽しんでいる人々で賑わっていた。


「結構人がいるね」


スマートフォンを見れば、電波の状態は時々圏外になったりと良くない。


「俺の手を離しちゃだめだからね」

「うん。離さないよ」


私が頷くと、悠くんの指が絡んで繋がれた手はいつもより力が入れられた。

それでいて気遣うように優しくて、痛みを感じることはなかった。

悠くんに手を繋がれるの、ドキドキするけど、好き。

どうか、今夜だけは、この手の温もりを独り占めすることを許してください。