目当ての小説が手に入って、連日続いた嫌がらせで落ち込んだ気分が少しだけ上がってきた。
早く読みたいなぁ。
なんて思いながら、最寄り駅から自宅までの道のりを歩いていた。
……駅から歩いて十分ほどたった頃。
ふと、背後から小さな足音が耳に入った。
その音に誘われるように立ち止まって振り向くと、辺りは私以外の人は見当たらなかった。
足音も止んでいる。
気のせいかな……。
私は気にも留めず再び歩き始めた。
すると、同時に足音が聞こえ始めた。
薄暗くなった空模様も相まって、不気味なものに聞こえてしまう。
まさか、私を……?
ううん、ありえない! 私の後をつけるなんて私の自意識過剰だよ。
そうに違いない。たまたま同じ方向なだけ。
私はそう言い聞かせながら、早く家に着けと歩みを早めていった。
自宅に着いて部屋に足を踏み入れた瞬間、私の中の緊張状態はゆっくりと解け始めた。
着替えることなく、制服姿のままベッドのふちに腰掛け、ぼんやりとしていた。
その時、スカートのポケットに入っていたスマートフォンが振動を始めた。
それを取り出すと、北川さんからのメッセージ受信の通知があった。
《笹山さん、もう家?》
《はい、着きました》
猫のゆるキャラのスタンプを追加する。
嫌がらせに遭うようになってからは、益々北川さんからのラインを楽しみにするようになっていた。
今では心のより所になっている。
彼だけは私に優しく接してくれる。
でも、北川さんに彼女が出来たら辞めなきゃ。
彼氏が他の女の子と連絡を取っているなんて嫌だと思う。
でも、その日はまだ来ないで欲しい……。
そう切実に願っている私がいた。
早く読みたいなぁ。
なんて思いながら、最寄り駅から自宅までの道のりを歩いていた。
……駅から歩いて十分ほどたった頃。
ふと、背後から小さな足音が耳に入った。
その音に誘われるように立ち止まって振り向くと、辺りは私以外の人は見当たらなかった。
足音も止んでいる。
気のせいかな……。
私は気にも留めず再び歩き始めた。
すると、同時に足音が聞こえ始めた。
薄暗くなった空模様も相まって、不気味なものに聞こえてしまう。
まさか、私を……?
ううん、ありえない! 私の後をつけるなんて私の自意識過剰だよ。
そうに違いない。たまたま同じ方向なだけ。
私はそう言い聞かせながら、早く家に着けと歩みを早めていった。
自宅に着いて部屋に足を踏み入れた瞬間、私の中の緊張状態はゆっくりと解け始めた。
着替えることなく、制服姿のままベッドのふちに腰掛け、ぼんやりとしていた。
その時、スカートのポケットに入っていたスマートフォンが振動を始めた。
それを取り出すと、北川さんからのメッセージ受信の通知があった。
《笹山さん、もう家?》
《はい、着きました》
猫のゆるキャラのスタンプを追加する。
嫌がらせに遭うようになってからは、益々北川さんからのラインを楽しみにするようになっていた。
今では心のより所になっている。
彼だけは私に優しく接してくれる。
でも、北川さんに彼女が出来たら辞めなきゃ。
彼氏が他の女の子と連絡を取っているなんて嫌だと思う。
でも、その日はまだ来ないで欲しい……。
そう切実に願っている私がいた。


