私は目を細めて、にこりと微笑むと、悠くんの耳元に顔を近付けてそっと耳打ちした。 


「でも、悠くんと過ごせるのが……一番うれしいから……」


強い眠気のせいか、恥じらうことなく思ったことをストレートに言うことが出来た。

なんなら、腕にぎゅっとしがみついて、頬擦りをして甘えている。

眠気が無ければ出来ない行為だ。

そんな私を悠くんは髪を優しく撫でてくれた。

やがて、私は悠くんに寄りかかったまま眠りに落ちていった。




目を覚ますと、いつもより温かく感じた。

完全に目を覚ましていない私は、無意識にその温かさに擦り寄りぎゅっと抱き着いてひっついていた。

その時、私の額に柔らかい感触が触れた。

小さなリップノイズが鼓膜を震わせ、夢うつつにいた私を呼び覚ました。


「い、今……っ」


意識がクリアになった今、私は今の状況を見て慌てふためいてしまった。

だってっ、リビングにいたはずなのに今はベッドの上にいて、悠くんに抱き締められているから。

私と悠くんは寝室にいるというわけだ。


「おはよう、響」


カーテンの隙間から射し込む日差しに照らされた悠くんは、神々しいくらいに綺麗で、見とれてしまう。


「っ、おはよう……っ、悠くん。もしかして、リビングから運んでくれたの?」

「運んだよ」


さぞや重かっただろうな。申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


「ごめんね。私のせいでベッド狭くなっちゃって。ソファーに寝かせても大丈夫だったのに」

「彼女をソファーに寝かせるわけないでしょ」


悠くんはなんてことないように言った。