店の電気を落とすと、暗くなった店内で、チカチカとクリスマスツリーが光った。

 商店街のスピーカーからかすかに聞こえるジングルベル。

 ああ、クリスマスがやって来たなぁという感じがする。

「それじゃあ、僕は出かけるから、あとは二人でよろしく」

 悠一さんがウキウキと店を出ていく。

 ひょっとしたら、悠一さんもデートなのかな?

 どうしよう、二人っきりだ。
 
 私はドキドキしながら秋葉の顔を見た。

「どうする? ケーキでも買いに行く?」

「そうしよっか」

「お前んち、今日も叔母さんいないんだろ? うちで食っていけよ」

「うん」

 うきうきしたような秋葉の顔。

 てっきりクリスマスには興味が無いと思ってたのに。

「でも予約もしてないし、どこの洋菓子屋さんも混んでるかもね。自分たちで作った方がいいかな」

「そうだな。せっかくだし、自分たちで作るか」

 私と秋葉はお店を閉めると、二人、近所のスーパーに買い物に出かけた。

 スーパーは、夫婦や家族連れで溢れていて、みんなオードブルやチキン、ケーキを買っていく。

 私たちは、夕ご飯の材料とスポンジの材料、それに果物や生クリームを買いこんだ。

「……少し買いすぎかな?」

「あまったら明日も食べればいいよ」

「いざとなったら悠一さんや莉茉ちゃんたちにも分けましょう」

 外は、パラパラと真っ白な粉雪が降っている。

「二人は今ごろデートかな」

「かもしれませんね」

 薄く積もった雪を踏みしめ、懐かしい部屋へと戻る。