あやかし戦記 妖艶な夜に悪夢を

ツヤが訊ねると、ピーターは「去年はアクセサリー屋で、その前はスイーツ店、女の子が喜びそうなもんばっかりやってるよ」と答える。だが、このサバトにはアクセサリー屋などはたくさん出されている。一つ一つを見て回るのは時間がかかってしまう。

「いつ人身売買が行われるかわからないっていうのに……。クソッ!」

ツヤが苛立ちを見せながら小石を蹴り上げ、ピーターが顔を青くする。そして、ハッと思い付いた顔を見せた。

「飲み物を買ってくる。ちょっと休憩しましょう!おいしい魔法のジュースが売られているお店、知ってるんで!」

そう言いながらピーターは走って行く。ポカンとした顔を見合わせたイヅナとツヤだったが、ツヤが次の瞬間ピーターを追いかけて走り出す。

「ジュースってここで売られてるもんだろ!あたしとイヅナは飲めねぇってルーシーが何回も言っただろうが!」

イヅナも追いかけたかったのだが、疲れ切った足では追いかけることができず、ピーターやツヤの姿を見失ってしまう。