「お望みとあらば……」

「玲子を愛してくれているのかな」

「はい、愛しています」

「玲子も君と同じ気持ちなんだね」

「はい、玲子さんも自分と同じ気持ちだと自負しています」

「そうか、しかし、結婚は双方の合意の元だ、玲子は離婚して、それから君と結婚しなくてはならない、ましてや離婚が成立しなくては結婚は出来ん、いくらわしが君と玲子の結婚を許しても、玲子夫婦の問題が解決しなければ先には進めないぞ」

「わかっています、では問題が解決したら、玲子さんとの結婚をお許し頂けるのですね」

「そうだな」

僕は玲子の父親の元を後にした。

玲子の旦那は玲子に愛情を感じていないだろうが、都築総合病院の後継者狙いなら、簡単に離婚はしないだろう。

何か手立てはないものかと考えながら、玲子の待っているマンションへ向かっていた。
「玲子、帰ったぞ、玲子」

玲子の返事がない。