「とにかく、サーカスが終わるまでに帰るんだ!」

「団長に捕まったら危険だぞ」

「君たちは知らないかもしれないけど、このサーカス団の正体はねーーー」

「ねえ、お客様に何してるの?」

低く冷たい声が響く。ピエロたちを団長が睨み付けていた。その目は冷酷で、律の喉がヒュッと音を立てる。自分が睨まれているわけではないのに、体が恐怖で固まって動かせない。

「そんなに話す余裕があるなら、もう休憩はいいよね?さっさと後半を始めるよ」

団長がパンパンと手を鳴らすと、また軽やかな音楽が鳴り響いて後半が始まる。

「……大変申し訳ありませんでした。どうぞ続きをお楽しみください」

団長はニコリと笑ったものの、律たちから恐怖が消えることはなく、ただ頷くしかできなかった。

後半のパフォーマンスも素晴らしいものだった。一つのミスもない完璧なステージに心を奪われてしまう。そんな二人の横で、団長は満足そうにしていた。