「それでまたこっちから仕事に行くことになったから、ついでに志保のことも送ってってやろうかなって思っただけなんだけど…」 「そ…、そうなんだ…」 「うん」 「…でも、どうしてまた実家に戻ることにしたの?」 私が再びたずねると、 「うん…、あのアパートにいると何かいろんな思い出につぶされそうだったし、ひとりでいるとどうしても沈んじゃうからね…。それで急だったんだけど、アパートは先月いっぱいで解約することにしたんだ。結局家賃1か月分損したんだけどさ」 ユキちゃんは自嘲的に笑った。