留学して1年が経った頃、私と出会ったらしい。

「研究って?」
「あー。外科の手術方法で新しい方法を研究してたんだ。まだ日本では認められていない方法だけど、こっちでは認められてすでに何ケースもオペで成功してる。この成果が重ねられれば日本でも承認されるだろうって、東京の病院に在籍しながらこっちに留学させてもらってる。」
「すごい・・・」
紫苑は私のお腹をさすりながら話を続ける。

「予定ではあと半年で日本に帰る予定だったけど、もしかしたら延びるかもしれない。」
「・・・」
うつむいた私に、紫苑が視線を向ける。

「本当はこんな状況だからすぐに桐乃を日本に連れて行ってあげたいんだけど、まだ妊娠初期だし、今の安定しない状態で長時間のフライトは難しいんだ。ごめんな。」
「・・・少し・・・休んでもいいですか・・・?」
「敬語はつかわなくていいから。」
紫苑が立ち上がり、ベッドの角度を下げてくれる。