全神経を手に集中させる紫苑。

「あ・・・」
私が声をあげるのと同時に紫苑が、顔を私の方に向ける。

「動いてる!」
紫苑は緊張していた顔を一気に緩めて、顔を輝かせる。
「動いてる!」
そう言って私のお腹に触れていた手をどけて、自分の頬を私のお腹にあてる紫苑。

目の前には彼のつむじ。

私のお腹に頬をあてながら「もう一回動けー」と声をかけている彼に、私の胸が再び高鳴る。

これは、私自身の胸の高鳴りだと確信する。