「お腹、すいちゃった。」
少し体を離して、紫苑の顔を見ると、私の言葉に見る見るうちに優しい微笑みになる。
「何食べようか」
「簡単に何か作る。」
過去と向き合うために、家事をほとんどしていなかった私。
紫苑から体を離して、ソファから立ち上がろうとすると、彼は私の体をソファに戻した。
「だめ。離れない。」
「・・え?」
「今日はデリバリー頼もう。思いっきりジャンキーな食べ物食べる!」
彼は私を抱きしめたまま、携帯電話を取り出して、何やらデリバリーを頼み始める。

「何食べる?」
写真付きのメニューを見ながら私たちは食べたいものを選んだ。

「たまにはいいだろ。ジャンキーな食べ物。」
「ごめんね、夕飯作らないで」
「何言ってんだよ。」
私をだきしめたままデリバリーを待つ紫苑。