ずっと彼がそばにいてくれた家。
一人になってやけに静かに感じる。

私はリビングに戻り、すでに再び気に入っている大きな窓から街並みをみる。

慌ただしく歩く人が、小さく小さく見える。
まだ一度しか街を歩いた記憶はないけれど、ここは本当にニューヨークなのかと家の中にいるとわからなくなる。

紫苑は家にいる私が退屈しないようにとあれこれ用意をしてくれた。

私専用のパソコンを買って、難しい設定をしてくれた彼。
私はニューヨークに戻ってきてから英語を猛勉強していたらしい。

勉強していたことすら忘れてしまった私には英語は全く理解できないけれど、紫苑が私が使っていたという参考書を用意してくれていた。