「うん。だって、私のこと、好きでもないくせのに、一緒に居るとしたら、私にとっても、相手にとっても無駄な時間を過ごさせてしまうから」
「自分がその人と一緒に居たい、って思えば、それじゃ駄目なの?」
海藤くんに、至って純粋に問われた。
「そんな自分勝手なこと、言えないよ」
――海藤くんじゃあるまいし。
「じゃあ、その後、自分はどこへ行くの?」
「えっと……」
「自分の気持ちは、どこに行けばいいのさ」
「そ、れは……。また自分が好きだと思える人と、出会えるときまで――
「その人には、いつ出会えるの?」
「それは……分からないけど」
私は答えられず、吃ってしまう。
そんな私を見て、海藤くんは深く溜め息を吐く。
「あのね、栗山さん? 目の前に居る目標の人を、わざと敢えて見逃して。次、いつ自分が好きになれるか、どうかも分からない人を待つなんて、リスクが高過ぎる。そんなんじゃ、一生独身も有り得る話になってくるよ」
彼の正直な話を聞いていると、今まで他の人が私の空想話を愛想良く、何とか聞いてくれていたのだな、とよく思い知らされた。
彼はちゃらんぽらんで、いい加減で、自分勝手なだけだと思っていたが、正直すぎる程に包み隠すことの無い、実直な意見をくれる。
本心で話してくれているからこそなのか、海藤くんも少し苛立っているように見える。
きっと私たちは、相性が良くないのだろう。
こんな時にまで、そう実感してしまう。
「自分の為に生きない人生なんて、何の為に産まれてきたのか、分からなくなるじゃん。栗山さん、そんなんで良いの?」
言い切った海藤くんの苛立ちは、とうとう沸点の付近にまで溢れ出しているようで、表情が全て表に現れていた。



