「おい、またかよー、海藤ー」
「いいなー。俺にもラブレター欲しーなー」
ギャハハと下品に笑う彼らにも、好感を持てず、極力近付きたくない。
「みんな、先に行ってて良いよ」
嫌な気分になっていた私を、知ってか知らずか、海藤くんが取り巻きを追い払ってくれる。
彼らを「追い払った」と思った理由は、少し面倒臭そうに、そして、その瞳に相変わらず光が灯っていなかったからだ。
彼らも、また友達という訳ではなさそうだった。
そうと知ってか知らずか、3人衆は靴箱へと足の向きを変えて、海藤くんへ呼び掛けている。
「じゃあ、先に部屋取って、歌ってるわー」
「ちゃんと来いよー」
彼らの台詞を聞くに、カラオケに行く予定なのだろう。
それなら、海藤くんも早くそちらへ言ってくれた方が良い。
3人衆が出て行ったのを確認すると、海藤くんの関心は私へ向かう。
「で? それは、俺宛てじゃないの?」
「ご、ごめんね。生憎、違うの」
話を切り上げて、逃げる為に急いで鞄へ隠してしまおうとした時。
手紙をしまっている私の手に一瞬、温かいものが触れたと思ったら。
手紙は私の手をすり抜け、いつの間にか、海藤くんの手元に渡っていた。
「ちょっと返してよ! なんで、そんなことするの?」
「俺宛てじゃない、って言うのが腹立つから」
海藤くんの言い方、その声色が、とにかく冷たい。
「海藤くんには、関係ないでしょ」
少し強めの口調が、自然と出た。
私には我ながら、本当に珍しいことだと思う。
私が苛立っている間も、海藤くんの表情は相変わらず薄い。
そして、彼は真っ白な封筒の表裏を確かめる仕草をしている。
私の相手をせずに、手紙ばかり眺める彼を、私はじっと見つめていることしか出来ない。



