健太くんは当然のことながら、その中には居ない。
――本当に、友達じゃなかったんだ。
妙に安心してしまった。
海藤くんを見つけた瞳は、然り気無く逸らして、他所へ視線を変える。
男4人で、大騒ぎをしていて、聞こえてくるだけの声に、迷惑だなぁ、と思う。
本当に、どうかしている。
少し前なら、きっとあれ程の騒ぎを見ていても、違う世界の人たちだ、と思ってしまっていたことだろう。
本性を知ってしまってから、ものの一瞬で、こうも人の考えとは変わってしまうものなのか。
人の気持ちの変わりように、呆気なくも思ったし、そんな自分を酷いとも思った。
「栗山さん」
「へっ、はい」
突然、呼び掛けられて、驚く。
そのまま振り向くと、そこには海藤くんが1人で立っていた。
「な、何でしょう……」
つい他人の様に素っ気なく対応した私に、海藤くんは作り笑顔を引き吊らせる。
そして、私の手に持つ白い封筒を指差した。
「それ」
「え」
「やっと、俺にラブレターくれる気になったの?」
それを言ったときの海藤くんは、いつもの女子達に向ける爽やかスマイルになっている。
所謂、営業スマイル、と云うやつだろう。
やっぱり、その黒い瞳の奥の感情が見当たらない。
まるで、お人形さんの、それ、だ。
彼の、この恐怖の瞳に私は、ある意味であてられてしまい、彼のこと自体が無理になってしまったのだ。
「黙り? 照れちゃってるのかな」
首を傾げる海藤くんは、ちょっと怖い。
すると、遠くに居る彼の恐らく取り巻き3人衆が、囃し立てる。



