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翌日の放課後。
1日中、健太くんに渡そうと近くまで行っては、引き返してを繰り返していた私は、案の定、彼に手紙を渡すことが出来ずにいた。
そして、人が減ってから近付こうかとも思ったが、これが思い通りには行かず、なかなか人が帰っていく様子がない。
それどころか、各々で世間話を始めて、その場に居座り、話が止まらなくなっている。
このままでは、埒があかない。
その為、部活へ向かう健太くんが、その途中で1人になるタイミングを狙う。
1人で部活に必ず行く、と云う確証は無いけれど。
そんなこんなで、これから部活前の健太くんを捕まえて、告白を改めてすることで、当たって砕けようと思う。
そして、見事に砕けた暁には、前回同様「これからも幼馴染みとしてくらいは、仲良くしてね」と逃げ帰る算段だ。
ちなみに、楓は今日はバイトがある為、先に帰っている。
とりあえず、昇降口へと移動した。
靴箱は、これから部活動へ向かう運動部の人たちや、帰宅部の子たち等が、次々に靴を履き替えている。
それらの人を見送りながら、目的の彼を待つ。
通り過ぎる生徒たちの顔を、こっそり盗み見る。
いつもと変わらない1日の終わりに、これから何をしようと浮き足立つ表情や、今から始まる部活動の練習にうんざりしている表情など、様々だ。
その中で、きっと私1人だけは、強張っていて、他の人が何とも云えない顔をしているのだろう。
その手には、裏表真っ白な封筒を携えて。
すると、数人に囲まれて、こちらへ歩いてくる人物の気配を感じた。
あの人だ。
――海藤くん、だ。
今は、3人の男子生徒に囲まれている。



