楓が、それに高圧的に睨む。
「ちっ、違う。違うんだ」
「何が違うのよ。あー! もう! 会話をするのも嫌だ!」
いくら相手が海藤くんとは言えど、それは失礼なのでは、と言いたくなった。
それにしても、いつもクール、爽やかが売りな筈の海藤くんが驚く程、必死だ。
「俺は! 栗山さんが好きな訳じゃない! 本当は楓ちゃんにリベンジしたくて! それで、栗山さんと仲良くしてただけで……」
「最っ低! どれだけ華世が怖い思い、嫌な思いしたと思ってんの? もうどっか行け! 2度と関わるな!」
「お、落ち着いてよ、楓ちゃん。1回、君にフラれてから、俺なりに考えたんだ! まずは、外堀から埋めて、仲良くやるべきだって……」
――海藤くん、楓に1回、告白してるんだ。
初めて知る事実だ。
楓の顔を見ると、般若の様になっている。
これは、私も手に負えない状況のときの顔だ。
今回も、見守るしかないのだろう。
暴力沙汰だけは、取り押さえなければ。
私がヒヤヒヤしていると、楓は大きな大きな溜め息を、もうこれでもかという程、盛大に吐いた。
「外堀? バーカ。全くのお門違いよ。なんで私があんたをこんなに嫌ってるのか、って一度でも考えないわけ?」
楓の言葉に海藤くんが狼狽える。
「俺のこと、嫌い……?」



