「今はそんな話、関係無いだろ。早く、その手、下ろせよ」
私の見た具合では、言葉を言ったと同時に健太くんの握る力が、より強まった気がした。
痩せ我慢をしているのか、海藤くんの眉間がピクリと動く。
その様子をしっかりと見てしまった私は、海藤くんと目をが合ってしまった。
「えー。栗山さん、俺のこと嫌? いつもあんなに笑いかけてくれるのに?」
「あ……」
何かを返そうと思うのに、言葉にならない。
「嫌」とか「嫌い」とか、今の私では、とても言えそうにない。
そんな私を見かねて、健太くんが間に入ってくれる。
「……嫌がってる」
「そんな訳ないよね?」
「そんな訳ある。海藤、お前、今の顔見てこい。そんな顔、向けられたら、誰だって怖がる」
「はぁ?」
健太くんの意見に同意だ。
内心で大きく縦に首を振る。
でも、出来るだけ、本人を傷付けないように言葉を探す。
この期に及んで、まだ私は言葉を探す。
「あの……」
「ん?」
私に関心を戻した海藤くんの顔からは、笑顔が剥がれ落ちていた。
しかし、それは健太くんに向けているよりは、気持ち、柔らかいものだった。
「こういうお話したりとか、軽いスキンシップとかは、いつもラブレターくれるような、本人に好意を持ってくれてる子にするなら、喜ばれると思うよ。でも、私は……」



