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日曜日。

私のバイト先である、如何にも地元の雰囲気を醸すカフェは、生憎の雨天だろうが、常連さんで席は埋まっていた。



「ありがとうございました。雨が酷くなってきましたね」

「ああ、ほんまやなぁ」

「足下お気をつけて、お帰りくださいね」

「ありがとう。ご馳走さま」



外まで出て、店先でお客様を見送る。

すると、その先に淡い黄色の傘が揺れながら、近付いてくるのが見えた。



「よっ。華世」

「楓! 来てくれたんだね。雨の中、ありがとう」

「いいの。私が来たくて、来てるんだから」

「さぁ、どうぞ。中に入って。ちょうど1席、空いたから。テーブル、すぐ片付けるね」

「忙しい時間帯にごめんね」

「とんでもない。さぁ、入って、入って」



申し訳なさそうにする楓の背中に回り込み、そっと押す。

窓際のテーブルの上にあるお皿やコーヒーカップを片付け、素早く拭いて、そこへ彼女を促した。