「海藤くん……お、おはよう」
「おはよう。栗山さん」
この曇天までも、晴れ渡らせてしまいそうな勢いの笑顔を、朝から受けるのは身体に悪い。
危うく、息が絶えてしまうところだった。
そんな私を、呆れた目で見ている健太くんに気付いた。
一生懸命、睨み返していると、海藤くんは健太くんの肩に手を乗せる。
「何だよ。全く話さないとか言っといて。蜂矢と栗山さん、仲良いんじゃん」
「別に」
健太くんが、そっぽを向く。
もしかしたら、幼稚園からの仲だから、こんなもんだろ、とか言ってくれるのかと期待をしてしまった。
そんな訳ないか。
ただ家が近くて、ずっと同じ学校に通っていただけだから、然して特別な関係という訳でもないもんね。
私も気にしないフリをして、笑って誤魔化す。
「そうそう。別に普通だよ。お話するのだって、本当にご無沙汰だったし!」
ね、と健太くんへ同意を得ようと、投げ掛けた。
それなのに、健太くんは何故かしら不満そうにする。
「健太くん……?」
「俺、ちょっと部室に取りに行くものあるから。寄ってから、教室行くわ」
そう言うと、足早にその場を去っていく。
今度は一度も振り返ることなく、どんどん背中が小さくなっていった。
「何なんだろうね、あいつ」
「え」
「ちょっと怒ってたね」



