それから、そのまま電車に乗り込む。
野球や部活の話題以外は、あまり話してくれない幼馴染みに、私がひたすら最近、行ったお店や、起こった出来事を話した。
健太くんは、ひたすら相槌を打ったり、時折「何だそれ」などとツッコミを入れて、聞いてくれていた。
校門前までやって来ると、ある人物の後ろ姿が見えた。
「あ……」
思わず漏れた私の声を聞き逃さなかった健太くんが、私を振り返った。
そして、釘付けになっている私の視線の先を辿っているようだ。
そして、一言どストレートにかまされる。
「──海藤のこと、好きなの?」
「すっ、好きじゃない!」
楓もだったけれど、ちょっと見惚れるだけで、どうしてみんな「好き」だとか、恋だとかに結び付けようとしたがるのか。
「……そんな、力んで言わなくても」
「だ、だって! 誤解されたくないから」
「え」
海藤くんみたいに爽やかなイケメンは、誰にでも優しくして、きっと誰からも憧れられ、誰もが羨む。
だけど、私が海藤くんに対して持つ印象は、みんなのそれとは少し違う。
笑顔は眩しいけれど。
かなりキザで、寒いことを言っても様になる人だけど。
全て、作りものの様に感じている。
目の保養にもなって、素敵だと思うけれど、少しだけ違和感がある。
私なりに例えるなら、そう──。
「海藤くんって、画面越しの芸能人みたいだから。私にとっては」
私が、いつか恋するとしたら、私だけに本当の顔で笑い掛けてくれる人。
自分でも、アホらしく思えてしまうけれど、そう思えても尚、変わらない憧れ。
恥ずかしくなって、顔が熱くなる。
「だからね、本当に見てるだけで十分なの」



