顔を俯かせて地面を見た。






「………………」







………………あれ。



数秒待っても返事がない、かと思えば。






「え。いない…」






隣にあったハズの桜井の姿はなく、そんな桜井は少し離れた先のとあるワゴンの近くにいた。



何かを買ってこっちに歩いてくる姿を見て俺は思わず「えー…」と声が漏れた。





「急にいなくなるんだね…」


「しょーもない話、終わったか?」


「(しょーもない話…)」






帰ってくると、桜井はまた俺の隣へとやってきた。





───甘い香りのする物を持って。






「なに買ったの」


「ポップコーン」


「ああ……言ってたやつか」


「ずっと食べたがってたからな」


「プレミアムストロベリーキャラメル味だっけ?確かワゴンがあちこちと移動するからなかなか見つからないって噂の」


「ソーソー」







それがたった今、目の前に現れたというわけか。