泉くんの後ろを通り過ぎ、靴を履く。





「待てって!!」


「ひゃあ!?」





引っ張られた腕。


ぐらりと身体が倒れる。






ヒヤッと背中に感じるフローリングの冷たさ。






視界に映るのは、逆さまの泉くんの顔。





「鍵、持って帰らないと家入れないよ」


「鍵……?いや……え?」


「アンタの服のブラウスに入ってた。なんであんなところに入れてんの?もっと取り出しやすいところに入れなよ」


「え、あ、そう、だった……わっ。」





おでこに置かれた鍵はヒヤリと冷たくて、でもその冷たさが心地よくてやっぱり熱があるんじゃないかと思った。



そんな私に泉くんは見下げながらこう言う。






「エッグトースト、

食べたいならまたおいで。」





──私の顔にかかった髪をさらっと払い除けて。






「は、はひ…」





え、なに。なに…!?


髪の毛触られただけだよね!?

なのに心臓煩いんだけど…!!?






この時、



まるで満点の星空を見てるみたいに



泉くんの姿がキラキラと眩しく見えた。