「ねえ、葵さん」





椅子から立ち上がり、俺もその場に腰を下ろす。



耳を塞ぐその手を掴んで耳から引き離すと
葵さんは目を点にした。







「俺にとって葵さんは唯一の同期なんだよね」


「うん?そうだね」


「だからさ、」








蒼空さん以外にも、頼れる人はまだいる。








「手伝ってくれない?」


「っ…!え、いいの!?」


「仕事手伝わされているんだから普通喜ぶことじゃないと思うけどね」


「喜ぶよ!!だって初めて泉くんに頼られたんだもん…!」


「……なんかよくわかんないけど、まあそれなら良かった」


「よっしゃぁあああ!!!
ちゃっちゃとやっちゃいましょう泉殿!!!」


「じゃあこの文字大きくしてくれる?」


「ちょっと!?
もう少し難しいのも出来るってば!!」


「ハハッ、じゃあここお願いね」


「承知した!!!」






こうやって2人で佇むことも

意外と悪くない。









唯一の同期

~完~










「やばっ!もうこんな時間…!?ごめんね泉くん!!疲れてるのに鍵探し手伝ってもらって…。
あーもう!!一体どこにあるのーーー!!!」


「(早く帰りたい…)」