この社員旅行は、はっきり言って『蒼空さん争奪戦の旅(仮)』でもあるということ。



同じ職場の女性なんてみんな目をギラつかせて蒼空さんのことを見つめてるんだから。





その視線をあてられながらも、蒼空さんはまた欠伸。



興味無いというか、もはや気づいていないのかも。










「……………」


「……………」





バスは複数台あるにも関わらず、まさかの蒼空さんの隣の席をゲットできた私。



走り出して数分間、無言が続いています!





でも苦じゃないです!

寧ろ有難いかもです!!





(だってこの距離で喋るの緊張する…!)





バスがちょっとでも揺れると肩が当たってしまいそうな、そんな距離。




横を見れば目の前に顔!

その端正な顔!

綺麗で美しくてヤバい顔!!




こんなの……発狂しちゃいます!





そうであっても顔を見たい欲は収まらず、盗み見るようにしてチラリと視線をあてる。





(あ…眠そう)





窓際に座る蒼空さんは眠たそうにウトウトと虚ろな目をしていて、窓から差し込む光のせいなのかすごく神々しく見える。




そしてその綺麗な瞳がスッと閉じられると、





(………寝ちゃった。)





静かに眠りについたらしい蒼空さん。





寝不足…?





(昨日の夜何してたんだろ)





想像してみると、


思い浮かぶのは


奥さんとの甘くて熱い時間。





(ちょっ?!なに想像してんの私!!さすがにそれは変態!!私ってばハレンチ!!)





好きな人と奥さんのそんなところなんて考えたくないのに…!





「わっ!」





突如ガタッと揺れた車内。



道に小さな段差があったのか、そのせいで揺れたであろうこの空間。





隣に座る蒼空さんは未だに熟睡。




けれど揺れたことにより窓側にもたれかかっていた蒼空さんの身体が私の方へと……





(あ…!やばい!これはコテンッと私にもたれかかっちゃうやつですかっ…!?)





期待して意識する──────