≪秀side≫


結衣ちゃんの火傷もすぐに冷やしたからか意外と大したこともなく、淡々と大掃除を進めていく俺たち。


大「あーなんか腹減ったな…」

結「じゃあそろそろご飯にしようか!何か食べたいものある?」

秀「結衣ちゃんもそろそろ疲れたでしょ。たまには出前でも頼む?」

結「全然大丈夫だよ!」

大「いいじゃん!たまには!寿司でも頼も!」

秀「じゃあ俺頼んでおくよ!」

結「ありがとう!」


その瞬間、ガチャリと空いた玄関。

瑛「ただいま。」

と帰ってきた瑛斗。
なんだか機嫌が悪そうに眉間にシワを寄せていた。


結「瑛斗兄おかえり!」

秀「今から寿司頼むけど瑛斗も食う?」

瑛「いらねー。」

そう言って階段をのぼり、2階の部屋まで行ってしまった瑛斗。


秀「機嫌悪いみたいだね。一応頼んで置いておくか?」

大「だな。」

って話していた俺らだけど結衣ちゃんだけは違かった。


結「なんか……。私見てくる!!」


と言うとスタスタと瑛斗の後を追って行った結衣ちゃん。


……本当に優しい子だ。

こんなにも気が遣えて家庭的な子他探してもなかなかいないであろう。

彼女は学校でもかなりモテている。

ただ大雅や、いつも一緒にいる強面の友達のおかげで彼女は好かれると言うより高嶺の花。

あまり声をかけられる男子はいないみたいだけど。


すると瑛斗の部屋から戻ってきた結衣ちゃんはキッチンに立ち何やら料理を作り始めた。

大「なんか作るの?」

結「うん。夕飯食べて来たわけじゃないみたいだし、なんだか具合悪そうだったから…。」

するとすぐにキッチンからお出汁のいい匂いがしてきた。

大「いいなー俺もそれ食いたい。」

結「え!大雅兄はお寿司でしょ?」

大「少しくらいいいじゃんっ!俺どっちも食う!!」

結「えぇ?食べられるの?」

大「余裕!!」

結「食べ過ぎて気持ち悪くなっても知らないからね。」

なんで言い合っている結衣ちゃんと大雅。

新婚の夫婦かと突っ込みたくなるような会話だ。


結「じゃあお汁代わりに作る?それともやっぱり秀兄はお味噌汁のほうがいいかな?」

秀「あーうん。じゃあ俺ももらおうかな。お寿司は少し少なめに頼むか。」

俺は少し少なめにお寿司を頼むとうどんと共にみんなで食べた。

炭水化物ばっかりだねとか言いながらなんやかんや楽しい1日だった。


結衣ちゃんの作るご飯は優しい味付けでいつもホッとひと息つけるような味。

外食や出前もいいけど一品でも結衣ちゃんが作る食べものがあるだけでも落ち着くな、と思ってしまう。


結衣ちゃんはもう完全に俺らの生活に欠かせない人になっていた。