≪大雅side≫



結「楽しかったね!ジェットコースター!」

大「お前…お化けは苦手なくせにジェットコースターは大丈夫なんだな。」

結「うん!はじめてだったけど…楽しかった!!」


私が笑顔でそう言うと「全く…お前は…」とか言いたげな顔で私をみてきた大雅兄。




大「まー楽しんでるなら良いけどさ。あ、少し温かいものでも飲むか?俺、買ってくるよ!」

結「あ、なら私が行くよ!」

大「いいって!結衣はこのベンチで少し座っててよ!」

結「うん。分かった!ありがとう!」


大雅兄は走って飲み物を買いに行ってくれた。

私が座っているベンチの目の前には小さなお土産屋さんがあって、キーホルダーや絵はがきがずらりとか並んでいるのが見える。


せっかく遊園地に来たんだし記念に大雅兄とお揃いとか欲しいなぁ…。

少しみてみようかな。

そう思いベンチから立ったその時だった。



「あれ…お姉さん可愛いね。ひとり?」

突然知らない男の人たちが声をかけてきた。

結「……」

こーゆーときは無視するのが1番って大雅兄言ってた。

すると…

「おーい。聞こえないふりすんなよ。」

そう言って1人の男が私の腕を強く掴んできた。

結「痛い!!」

私がそう言ってすぐ

「いってぇ!」

と言う声で私の腕はすぐに解放された。


大雅兄が男の腕を掴んでいたのだ。

大「俺の彼女になんの用?」

「あ、いや…」

そう言って男たちは去っていった。

え。今彼女って……。

私は一気に顔が熱くなった。



大「全くお前は…どんだけナンパされれば気が済むんだよ…。」

結「わざとじゃないもん。やっぱりメガネかけた方が良いのかな…」

大「いや、でも…俺が居なくなったらかけた方が俺は安心だけどな。」

え?居なくなった時??

結「どーゆー事?大雅兄居なくなるの?」

私がそう言うと少し驚いている様子の大雅兄。

大「言ってなかったか?俺春から一人暮らしするんだよ。」


…ひとり暮らし?

聞いてない。そんなの。

やだ。大雅兄が近くにいないなんて。


大「ちょ…こんなとこで泣くなよっ!!」

結「だって…」

大「とりあえず観覧車にでも乗って…ゆっくり話すか。」


と言う大雅兄に連れられ私たちは観覧車に乗る事になった。





観覧車にて。

大「俺…医大受けようと思ってるんだ。」

結「医大?」

大「うん。俺結衣が体調崩した時何も出来ないのがずっと嫌でさ…」

結「そんな事ない……」

大「俺がもっとちゃんと医者になって今度は結衣が具合悪い時も守れるようにするから…」

大雅兄は真剣な目でそう言った。


結「うん……。」

大「にしても…なんでよりによって俺らが血繋がってるんだろうな。」

大雅兄がそう言った瞬間私の心はチクリと痛んだ。

結「……え?私と兄妹じゃ嫌だったの?」

大「そうじゃねーけど…でも血が繋がって居なければコクれた。」

結「??」



大「もー隠すの嫌だから言うわ。」


そして大雅兄はさらに真剣な顔になって口を開いたのだ。


大「俺…会った時からずっと結衣が好きだ。」


結「えっ…」

大「だから…血なんて繋がってなければ良かった。」


そう言った瞬間私の目からは涙が溢れた。

嬉しくてしょうがなかったから。

でもそんな私を見て大雅兄は焦っていた。

大「やっぱりダメだったよな!!いいんだ!忘れろ!」



結「違うの…。私も…。もっとずっとずっと大雅兄と一緒にいたいっ。」

私がそう言うと大雅兄はとてもびっくりしていたのだ。


でも私たちは片親の血が繋がっている。

だからお互い好きになる事は許されないのだ。