≪瑛斗side≫




俺のせいで風邪を引かせた。



てか…


琉生→仕事

秀→仕事

大雅→学校




あいつ……


まさか1人!?




別に心配なんて……

してねぇけど……


なんかモヤモヤする…






そんな中行われた撮影ではもちろん集中出来るはずもなくて……






















マ「一応言っておくけど…撮影が延期に出来るのなんて滅多にないんだからね。明日には完全復帰して仕事に集中すること。いいわね?」


瑛「分かってる。」


アイツの事が気がかりで撮影を延期してもらい家まで送ってくれたマネージャーの新庄(しんじょう)にピシャリと言われてしまった。





はじめて仮病つかった……


別にアイツの事が心配だったわけでは……

ない……はず。




なんつーか。

俺が風邪引かせたようなもんだから



きっと罪悪感ってやつだ。




そうに違いない。








瑛「ただいま。」


玄関を開けると部屋の中はシンとしている。



そりゃそーか。

結衣しかいないんだもんな……





大「瑛斗兄…今日はやくね?」


瑛「は?なんでいるの?学校は?」


大「サボった。」




こいつもかよ…


んだよ…


なら帰って来なくたって良かったじゃねーか。





瑛「んで。結衣は?」


大「今落ち着いて寝たとこ。起こすなよ?」


瑛「起こすかよ。」





だいたい…


あんなやつ興味ねぇし。



俺の周りには女優やらモデルやら美人には見慣れてる。



あんな豆狸みたいなの……



俺はまだ妹だなんて認めねぇから……






でも…

様子くらい見に行ってやらなくもないか。





瑛「お前の部屋…入るわ。」


大「おーけー。じゃ、俺買い物行ってくるわ。」




やる気のなさそうな感じで家を出て行ってしまった大雅。


結局2人きりかよ。






コンコンとノックをして大雅の部屋へ行くとさっきあげたクッションを握りしめながら眠っている結衣の姿があった。


ハァハァと辛そうな息遣い。



そっとおでこに手を当てるとかなり熱い。





瑛「ったく弱っちぃな……」



これだから女は……




結「……ん。」



やべ…

起こしちまった。





結「大雅兄…?」


大雅兄?
あいつもうそんな仲良くなってんのかよ。


瑛「違う。俺だ。」



結「あ…瑛斗さ…」


俺だと分かるなりすぐに起き上がった結衣。




瑛「起き上がるな。寝てろ。」


結「はっ…あの…えっと…」



瑛「別に無理に喋ろうとしなくていい。あと…これ。」




そう言って俺はコンビニで適当に買ってきたゼリーやドリンクを渡した。




結「これ……」


瑛「別に俺は心配なんてしてねーし、妹って認めたわけではないからな。」


俺が少し強めにそう言うと、気分を害すどころか結衣は途端に笑顔になった。



結「ふふ。」


瑛「何がおかしい。」


結「ごめんなさい。でも瑛斗さん本当はすごく優しい人なんだなって。」



結衣は笑顔でそう言った。





アホか。こいつは。


俺は犬と称して無理強いばかりしたのに。


だから風邪ひいたのに。



こいつの服とか荷物を全て処分したのは俺。


こんな俺みたいな奴普通嫌がるだろ。

嫌うはずだろ。


なんでこの女はそうしねぇんだよ。



どこが優しいんだよ。




豆狸が。

お前みたいな変な奴ははじめてみたよ。