≪大雅side≫




電話を切ると布団に潜ってしまった結衣。


大「どうした?布団潜ったら苦しくなるだろ。」

結「いいの。」

また機嫌が悪くなっちまった……。

大「なんでだよ。いいから出てこい……」

俺が無理矢理布団を捲ると驚いた。

大「なんで泣いてるんだよ。」

結「もういい。」

大「何が。」

意味わからねぇ。
俺なんかした?

電話に一瞬でも出たことを怒ってるのか?

いや…結衣はそんなやつじゃない。


じゃあなんで……


結「彼女から電話かかってきたんでしょ!!自分の部屋行って電話でもなんでもしてくればいいじゃん!!」


大「彼女?なんのことだよ……。」

俺は混乱していた。

結「この前も電話してたもん…。なるみって人と…私知ってるんだもん。」

そう言ってさらに泣き出した結衣。

俺となるみが付き合う?

いやいやいや。

勘違いにも程がある。


……でも。
ここ数日結衣が機嫌悪かったのってヤキモチって事か?

それはなんか……可愛い。




勘違いをしている結衣に俺は1枚の写真を結衣に見せた。

大「なるみは俺の幼馴染なんだ。だから結衣にも会わせようと思っていた。」

その写真を見て結衣は驚いていた。

結「え。この人…」

大「彼女どころか男だ。鳴海(なるみ)湊(みなと)!」

結「え!?私てっきり彼女だと思って……」


俺は思わず笑ってしまった。

気になるなら聞けばいいのに。

このためにヤキモチを妬いて俺につめたく当たっていたなんて…

本当に不器用なのはどっちだよ。


大「こんなにヤキモチ妬きの妹がいたら俺は一生彼女なんて作れねーな。」

俺がニヤニヤしながらそう言うと結衣は顔を真っ赤にして布団に潜りこんだ。


結「バカ!大雅兄のバカ!!」

大「お前は本当に可愛いな~!」

と言って布団を捲ると俺は結衣のことを強く強く抱きしめた。


何より、勘違いをしてヤキモチを妬いてくれたことが嬉しかったから。



結「みんなには絶対内緒にして…。」

大「しょうがねーから俺の心に留めておくよ。」

結「忘れていいー!」

大「それはどうかな~?にしても結衣、俺のこと大嫌いって言ったよな!?」

結「それは……」

大「元気になったらお仕置きしないとな。」

結「え!!!それはダメ!」

大「俺がどんだけ傷ついたと思ってるんだ?」


結「だって…じゃあ一生風邪ひいたままでいる!!」

大「ダメだー!!」

俺たちはそんな話をして笑い合った。



こうして俺らの兄妹喧嘩は終止符を打ったのであった。