≪大雅side≫



文化祭が始まった。


結衣がミスコンに出るのは知っていたが…

まさか俺もミスターコンに出ることになっていたとは……

しかも勝手にファイナルまで残されてるし……。

この学校大丈夫かよ。




そんな俺のクラスはお化け屋敷。

別に文化祭なんて楽しくも何ともねーけど…

今年は結衣がいるから別だ。

ミスコンでアイツどんなドレス着るんだろう。

そんなことばかりを考えていた。



「わー!大雅先輩がお化けになってるー!写真撮ってください!!」

そして俺の周りに集まる女ども。

あーうざったい。




そんな時だった。

結「あ!大雅兄!あ…おばけだ……」

俺に集る女どもとは違って少し引き気味に近づいてきた結衣。

真「おばけ怖いね。結衣あっち行こっか。」

そう言ってさっさと連れて行こうとする真央。




結「う、うん……」


うん…じゃねぇよ。
本当に行こうとすんなよ、結衣。
なんて心の中でツッコミを入れる俺。



大「待った!!!!テメェふざけてんのか。結衣連れてくな!」

真「結衣はうちらとまわってんだよ!」

大「ならお化け屋敷入ってけ!!ビビらせてやる!!」

紗「上等じゃねぇか。」

結「私はちょっと……」

真「入るぞ!結衣!!」

結「ええ……」


さりげなく入らないようにしている結衣を無理矢理入れる俺ら。


俺はアイツらを驚かすためにスタンバイした。

うんと怖がらせてやる!




俺がスタンバイしてるのは真ん中より少し先に行ったくらいの場所。

そしていざ脅かした時…結衣の姿が見えない。



真「おお。大雅。」

大「テメェ少しは驚けよ!!つか結衣は?外?」

紗「あれ?さっきまでいたのに……」


おいおい。じゃああいつ1人かよ。




俺は探しに入り口の方へと歩いて行った。


するとうずくまって泣いている女の子が1人。


大「結衣。」


結「大雅兄……っ!!」


泣きながら飛びついてくる結衣。


それがなんとも愛らしく挑発に乗ってくれた2人に感謝しかない。




大「ほら。乗れ。おぶってやるから。」

そう言って結衣をおんぶすると俺は先へと進んだ。

こいつは本当ビビリだな。

こーゆーところも可愛いんだけど。


そしてお化け屋敷を出た頃には結衣は泣き止んでいた。




結「大雅兄ありがとう!」

大「おう!あとで結衣のとこも行くな!」

結「恥ずかしいから来なくていいよ……」

顔を真っ赤にしてそう言う結衣に少しキュンとしてしまう。










そして今度は俺の番になった。

結衣のクラスへと向かう。

すると何やら人だかりが……


結衣の周りに男どもがたくさんいて明らかに結衣が困っている様子だ。

大「結衣!!」

結「大雅兄……っ」

「え?矢神の妹?」

そう声をかけてきたのは俺のクラスの冴島(さえじま)だった。

大「そうだけど…」

冴「そりゃ顔整ってるわけか。今回のミスコン最優秀候補らしいぜ。」

大「そう…なんだ。ってかなんであいつあんな部屋着みたいな格好してんだ?」

冴「このクラスコスプレ喫茶だからね。でもアリスも良いけどチシャ猫もかわいいよね~」


…そーゆーことか。

にしてもこの人気…すげーな。



俺は結衣の周りに集まる人だからな圧倒していた…。